ことばと世界 28 日本語の方言(演習):
吉田 雅子 [文教育学部 非常勤講師] |
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LA科目を担当して |
学年、学部を越えて一緒に学ぶということと、これまでお茶大では“方言学”の授業が行われていなかったことを踏まえ、まずは概説的な内容で方言学を広く扱いながらも大事なところはピンポイントで押さえる授業を行っています。方言学というと専門的に聞こえるかもしれませんが、基礎的な部分を紹介しています。
授業は、自由な発表形式を取っています。学生たちが回を重ねる度に、どんどん良い発表をしているので、他の発表者の良い点や、私が指摘した改めるべき点(板書の文字を大きく書くとか、レジュメを作るポイントなど)を学んで、どういう発表やプレゼンテーションをすればいいのか個々に習得しているのを感じます。きっと言語専攻の学生だけでなく、色々な学科の学生がいることで学びあう、リベラルアーツの良さが出ているのではないかと思います。 |
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学生の皆さんへ |
『全ての言語は方言である』と言うと、疑問に思われることがほとんどですが、ことばは必ずどこかの“地域”で使われているものです。皆さんは、生まれた時から共通語を知っているので、共通語が普通で方言が特殊だと思っているかもしれませんが、歴史的に見ると標準語・共通語が作られたのは明治末、近代国家の成立に伴ってであり、その歴史は浅いものです。「共通語」だけでなく、「方言の総体」が日本語なのだということを理解し、知って欲しいと思っていますし、授業を受けていくうちにそれを実感できるようになるのではと思います。
方言学はことばの多様性に注目し、ことばに対して様々な観点を持つことができる学問です。方言を理解することは、そのことばの使い手を尊重することにつながりますし、私たちは場面によって様々なことばを使い分けているという実態に気づくことができればと思います。 |
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授業風景 |
授業の形式は、テキストの内容に基づき担当分を決めて発表し、その内容について学生同士が質疑応答し、最後に先生が補足や解説を加えるという講読演習です。発表に関しては板書、口頭、掲示資料、レジュメなど、自由な形式で発表しているとのこと。 この日は、方言の歴史について発表していました。地理的な分類から始まり、過去の文献を資料とする方法や、アクセントや音韻での分類など、分かりやすいレジュメを作成し、それを活かした発表でした。 |
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取材(文):教務チーム |