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2015年12月14日更新
2015年12月8日から10日まで、韓国の梨花女子大学校において、梨花女子大学校と日本女子大学および本学の理系学部学生と大学院学生の交流を目的とした第6回「日韓3女子大学交流合同シンポジウム」が開催されました。本学からは、「グローバル女性リーダー育成カリキュラムに基づく教育実践と新たな女性リーダーシップ論の発信」事業(文部科学省特別経費国立大学機能強化分)の支援を受けて、6名の学部学生、11名の大学院学生と3名の教員が参加しました。各大学から参加した学生と教員が、研究内容や研究成果について英語で発表しました。
本学からの世話人として、第1回から引き続き参加している生物学科由良敬教授に今回のシンポジウムの様子について報告してもらいました。
由良 敬(ゆらけい)
お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系 教授
生命情報学教育研究センター センター長
理学部 生物学科
理系学生の英語による研究発表能力の鍛錬、海外での研究会参加の訓練、および日韓女子大学の友好関係構築を目的として、5年前から日本女子大学大学院、梨花女子大学校大学院、および本学の理系学部生と大学院生が、合同で研究発表会をおこなっている。第6回目の今回は、12月8日~10日の3日間、学部学生6名、大学院生22名、教員6名の総計34名で韓国ソウルの梨花女子大学校を訪れた。12月初旬のソウルは、例年ならば道は凍り雪が降っているのだが、今年は驚くほど暖かく拍子抜けの天候の中でシンポジムが始まった。シンポジウムの運営に関しては、第6回目ということもあり、スムーズに展開することができたと思う。梨花女子大学校側は、昨年同様にイベントを充実させ、次回以降への継続の意気込みを見せる歓迎ぶりであった。
初日は教員によるプレナリーレクチャーと学生交流会、2日目は教員によるプレナリーレクチャーと数学系、物理系、化学系、および生物薬学系の4つのセッションに分かれた口頭発表会、3日目はポスターセッションがおこなわれた。教員によるプレナリーレクチャーは、今年で3回目となる。各大学の教員による口頭発表を行ってもらった。これらのことにより、参加学生の学問的視野を広げてもらうこととともに、3女子大学の教員交流を促進し、新たな共同研究が生まれてくることも期待している。今回は、初日の学生主催の学生交流セッションを、例年とは違う形式で行った。晩餐会の会場で、研究専門分野が近いグループに学生をわけ、各グループで意見交換をする形式となった。この形式の方が学生間のコミュニケーションが活発に行われるようであった。交流会後の夕食では、学生間の事前のコミュニケーションが功を奏して、どのテーブルでも日韓の学生の交流を見ることができた。
第2日目の発表においては、46件の学生口頭発表が行われた。今年ははじめて、数学系のセッションを立ち上げることができた。残念ながらお茶大の参加者はこのセッションには加わっていなかったので、ぜひとも来年度以降は数学系の参加者が、お茶大からも現れることを期待する。例年日韓の学生の発表レベルの差が問題になるが、今年は互角であったと感じる。いずれの大学の学生も、各自の研究内容を英語で立派に発表できていた。さらに、口頭発表後に聴衆の学生が質問をする光景も頻繁に見ることができた。例年、学生からの質問が少ないことが課題となっていたが、今回、この課題を克服することができたように感じた。
第3日目には69件のポスター発表がなされた。これは今までで一番多い数である。日韓の学生および教員が各自のポスターの前で、討論している様子があちらこちらで見受けられた。梨花女子大学校の学生諸君は、ポスター発表に慣れている様子であった。このような議論を通して、学生間や教員間の交流が深まっていくことが期待できよう。今回のシンポジウムをとりまとめてくださったグンサング?ジェオン先生は、昨年度の形式を引き継ぎながらさらに発展させ、昨年よりもいっそう活発な雰囲気を生みだしてくれたと感じる。
本シンポジウムでは、学生間の交流と各自の研究を英語で他分野の研究者に紹介することを目標としてきた。日本女子大学および本学の学生諸君は、10月から行っていた発表練習の甲斐もあり、英語による口頭発表ができるようになったのは大きな収穫であった。さらには、質疑応答に対応できるだけの実力も、がんばれば身につけることができることが明らかになったことも、大きな収穫である。今回のシンポジウム参加が、学生諸君各自のキャリアパスを考える糧になってくれれば幸いである。梨花女子大生との交流と梨花女子大学校での見聞が、日韓の歴史や韓国の潜在的力を肌で感じるよい機会になったことは間違いなく、自身の現在と未来を考えるよい材料になってくれたと思う。